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便利屋には変わった依頼が舞い込むもの
できることなら何でも引き受けるのが便利屋。
悩みや問題があればすぐに駆け付けるのが便利屋としての基本。
ですが、地域に根差してくるとどのような依頼の集中がわかってきます。
「どのようなサービスが主力サービスになるのか」
「どのような悩みを解決して欲しいのか」が、分かってくると
言っても間違いでありません。
しかし、頻繁に受けるサービス・依頼とは別として珍しい依頼が
舞い込むことも便利屋という業態。
私も体験してきましたし、関係がある便利屋さんのちょっと変わった依頼を聞いています。
そのなかでも流行りそうで流行らないなと思っているのが「鍵の預かり」です。
鍵の預かり・保管サービスとは
鍵の預かりとは鍵を万が一紛失した場合に備えたサービスです。
※以下、鍵の紛失を気づいた場所が帰宅時だと仮定した文章となります。
鍵の持ち主は鍵を便利屋に預けます。
鍵を紛失した場合、鍵を預けた便利屋に(電話・メールなどで)連絡し、
預けた鍵を持ってきてもらうという単純なサービスを指します。
なお、預かり料金は月に数百円から千円程度が相場です。
ここで疑問を抱くのがどのようなメリットがあるか、です。
開錠・鍵の作成を専門業者に頼んだとしても数千円~数万円程度でから
長く鍵を預けているよりはその場で専門業者に依頼したほうが安く済ませられる可能性もあります。
依頼したほうが安くつくと一概に申せません。
ではなぜ、預けるのかというと「時間の節約」だと思われます。
鍵の救急をうたっている業者があっても出張範囲に含まれないと
依頼を受け付けてくれません。また、出張範囲内であったとしても
自宅(依頼場所)によっては時間がかかってしまいます。
専門業者がかまえる事務所から依頼場所(自宅と家庭)が遠ければ
それだけ待っている時間が伸びるということですね。
車や近所に休める施設があれば別ですが、冬の寒空の下で
過ごすのはきついです。
なにせ、睡眠時間が削られるでしょう。
また、専門業者が到着したとしても、腕が悪ければ1時間以上待つ必要があります。
※業者側も依頼主を車内に入れて待機環境をよくするとは思います
一方、鍵を地元の便利屋に預けておいた場合には電話一本で
駆け付けてくれるでしょう。
もともと鍵を預けていたので開錠だけで、鍵の作成を依頼する必要はなし。
さらに、預けたのは地元に事務所を構える便利屋ですから
余計な交通費はかからず、1件2,000円程度で済むでしょう。
夜間の緊急対応費を込みとしても5千円まではいかないはず。
預けた便利屋が保管料金だけ徴収する料金システムを採っているのでああれば
その場で料金を支払う必要はありません。
保管日数によっては専門業者を呼ぶより安上がりで
すぐに問題が解決されるでしょう。
そのため、時間を重要視する人や、面倒な手続きを嫌がる人であれば
便利屋に鍵を預けるというのもひとつの方法だと言えます。
ただし、その場で鍵の複製作業はできません。
※便利屋が鍵師の技術を持っていれば別です
また、サービス提供以前における問題点があります。
「鍵の保管・預かりサービス」をするときに直面する問題
まずは鍵の保管というビジネスの認知度がないこと。
また、便利屋に鍵を預けるという抵抗感があること。
利用者側としては、料金の節約のためにも地元の便利屋にあずけるのが一番です。
鍵の保管をサービスとして提供する便利屋側が乗り越えなければならない問題としては、
「信用される」という点。
自宅の鍵にせよ、車の鍵にしても悪用されたどうしようと不安でいっぱいです。
私がこの鍵の保管ビジネスを知ったのはまだ浅くて6年ほど前。
当時、便利屋で「鍵の保管・預かり」サービスを提供したいたのは2、3業者ほど。
鍵の保管を専門とする業者は1件だけでした。
当時からすでに鍵保管の専門業者のサイトは活発でなかったので
儲からない商売なんだなという印象を持っていました。
たぶん、いまでも個人の便利屋や大手FCが「鍵の保管」サービスを展開しても
なかなかうまくいかないかもしれません。
信用面の障壁が大きいとおもわれます。
もし、あなたが便利屋のサービスのひとつとして「鍵の保管サービス」をするのであれば
競合として考えられるのは同じサービスを提供している便利屋。
そして鍵のプロである鍵師(ロックスミス)です。
鍵の救急として駆け付けサービスを展開している業者は地方にも
存在していますし、なにせ信用面がネックになるはず。
老人宅の見回り・安否確認サービスとセットであれば可能性ありか?
しかし、「高齢者宅の見回り・安否確認サービス」「独居老人の見回りサービス」
に付随するかたちとしてならばありだと思います。
年配の方の見回りサービスの依頼をされている便利屋であれば、
依頼者からは信用を得ているはず。
そのなかで鍵を預かるのは自然な流れです。
万が一の場合、鍵を預かっていないと「発見」が遅れてしまう恐れがあります。
そのリスクを含めて説明すれば相手方も納得すはず。
しかし、「老人宅の見回りサービス」プラス「鍵の保管」となると
競合はさらに増えます。
目に見えない競合会社は意外と多い
鍵の保管という一点だけみると競合会社は意外と多いです。
同サービスを提供している同業者はもちろん、
個人宅の見回りサービス・安否確認サービスを提供している大手警備会社。
孤独死の対策をしているNPO・NPO法人。
介護用の監視カメラを商品として売り出す会社、細かく見れば
「近所のご年配の面倒をみる親切な若者」などが考えられます。
便利屋が「鍵の保管・預かり」サービスを主力にすることは難しいとおもわれます。
あったとしても「たまにある依頼」に留まる可能性が高いです。
しかし、この何かを預かるというサービスはとくに規制・資格がありません。
※預かる物品によっては違法となる恐れがあるので注意
便利屋経験がある方ならばご存知のとおり、日本は何かと規制をしまくるお国柄です。
何かをするにも何かの許認可・資格が必要であったりします。
新しいサービスを生み出すためにもこの何かを預かるという発想は
常に頭の片隅にでも置いておきたいものです。
なにせ、規制の対象外となっておりそれほど表にでない小さな悩みは
便利屋の本領が発揮されるところですから。