便利屋でも簡易的なトークスクリプトは作っておきましょうというお話し。
行き当たりばったりな便利屋さんも少なくないので、差をつけるチャンスです。
目次
■トークスクリプトとは?
トークスクリプトは主に営業業界やコールセンターなどで使われているビジネス用語です。
どのように受け答えをするのか、また、相手がどのような対応をしてくるのかを
考慮して作っておく台本のようなものです。
新人でも実績のあるトークスクリプトを覚え、実践できれば一定の成果は確保できるとも言われています。
このトークスクリプトは便利屋の営業時や、対面での応対でも使用できるものです。
トークスクリプトという用語を知らずとも、ベテランの便利屋は使っています。
「いつも言っている言葉」「いつも言い返しに使っている言葉」がトークスクリプトにあたるのです。
想定された営業トークと似たようなものだと捉えてください。
■なぜ便利屋にもトークスクリプトが必要なのか?
なぜ便利屋にもトークスクリプトが必要であるのか?
それは信頼性に関わってきます。依頼者から質問があったときに
当意即妙に答えられないと自信がない・頼りにならないと判断されるでしょう。
見積もり・提案段階で、上手く言葉がでないと失注の確率も高まります。
電話の応対でも同様です。
信頼の面からみても良い評価は得られ辛くなるでしょう。
言葉のやりとりだけで、受注できない事態(失注)が発生してしまう例もすくなくありません。
リピーターの確保・機会損失を防ぐためにもトークスクリプトを準備しておくのをお勧めします。
なお、すでに前職の経験があり、ひととおりの接客ができている方は
わざわざ作らなくても良いでしょう。
また、アドリブが効く方も無理に作る必要はないと思います。
そういったタイプの方は台本どおりにすすめようとすると
「遊び」がなくなります。
そのため、応対もギクシャクしたイメージを与えてしまうのが理由です。
ただし、便利屋のトークスクリプトは簡単です。
本当に簡単な文章で問題なし。でも、事前準備・練習しておくかどうかで差がでます。
以下に便利屋においてトークスクリプトが必要とされる場面について説明します。
■アイスブレイク
本題に入る前に軽く会話をして、その後のやりとりをスムーズにするのが
アイスブレイクです。相手と打ち解けるためにも必要です。※例外あり
当たり障りのないことでかまいません。
(例)話題の例
- 天気
- 気温
- 家の庭の植物
- 前回の依頼について
- 家族について
例えば、依頼があったお宅に赴いたと仮定します。
そういったときにまずはいきなり本題に入る前に相手の様子を伺います。
「綺麗な花が咲いてますね」
「今日も暑いですね」
「前回の〇〇の具合はどうですか?」
「可愛い子ですね。何歳ですか?」
など。
話し下手な人はパターンをいくつか用意しておいてください。
言葉に詰まることがなくなります。
なお、初回応対時は、アイスブレイクの前に挨拶・身分説明が必要です。
営業マンが使うトークスクリプトよりも簡素です。
でも、返答のストックを持っている事実があとから効いてきます。
■初回応対時のトークスクリプト
簡単に言うと挨拶~自己紹介です。「口上(こうじょう)」ですね。電話応対で最初に発するフレーズです。
(例)「はい。〇〇便利屋です。なにかお困りごとでしょうか?」
名乗る前にキャッチコピーを入れる便利屋も存在します。ただし、冗長になるので注意が必要です。
最初の言葉だけであれば問題はないでしょう。
しかし、その後があります。
「~というサービスはしてますか」
「~で~をしたらダメでしょうか?」など、
その後の会話の流れが必ずあります。
そのようなときに備えて「想定質問」や「想定会話」を作り、返答の仕方を揃えておきます。
(例)電話の場合
「はい。便利屋〇〇です。お話し伺わせてもらいます」
相手「あの~チラシを見たのですけど」
「はい。ありがとうございます。どのようなご依頼を検討中でしょうか?」
相手「家がゴミだらけで掃除もしていないので、掃除をして欲しいのですが」
「はい。わかりました。では清掃サービスをご希望ですね。料金はチラシにあるとおり、1名 1時間 3,300円となります」
相手「料金は合計でいくらになるでしょうか?」
「はい。正確な料金は現場を見ないことには算出できかねます。一度、見積もりのためご自宅にうかがわせてもらって現場を確認しても良いでしょうか? お時間のある日でかまいません」
相手「はい。では、x月x日の午後なら空いてます」
「ありがとうございます。では、お名前とご住所、電話番号をお聞かせ願えますか? まずはお名前をお願いします」
不安な方は、友人や家族を使って予行練習をしてください。
ぶっつけ本番よりは大分マシになります。
■価格交渉時のトークスクリプト
電話・対面に関わらず便利屋によくあるのが「価格交渉」です。
便利屋に依頼する方のなかには「便利屋は料金が安いもの」と勘違いされているお客さまもいます。
そういった方と応対したときにもトークスクリプトが役に立ちます。
言いよどんでしまうと、主導権が相手に握られてしまうパターンもあるためです。
そのなかでも、ありがちなのが「どうしてそのような料金になっているのか」という理由を求められる場面。ここであなたに質問。あなたが設定している基本料金の説明はできますか?
なぜ、そのような料金になっているのかを。おそらくとっさに返答できる方はすくないはず。たとえば現場では以下のような流れになると想定できます。
相手「見積もりなんですけど、ちょっと高いかな。もうすこし下げられませんか?」
「申しわけございません。こちら機材・人件費含め、相場どおり料金にしていますので、値下げはむずかしいです」
相手「その相場っていうのがわからない。どうやって相場は決まるのですか?」
「業界内で市場価格や、競争によって落ち着いた価格が相場ですので……」
相手「周囲に合わせているってことね。だったらお宅でその相場より低めにできないかな?同業他社には言わないから」
「いやー、はははは(苦笑い)」
料金に対する返答は事情を考慮した正確な返答よりも、相手がすぐに納得しやすい返答が適しています。
便利屋における基本料金は1時間3,000円。税込みで3,300円。
この料金について説明を求められたときの例を示します。
■料金の説明を求められたときの想定会話
相手「なんで1名 1時間3千円なの?」
「業界の相場に合わせているというのもありますが、やはり利益がでる最低のラインが3千円なんです」
相手「赤字になるギリギリってこと?」
「はい。ですから、人員が増えたり、機材が必要となると料金もあがってしまいます」
相手「でも、このチラシ見て。おたくより安いよ」※同業他社のチラシを提示する相手
「はい。確かに当社より安いですね。けれどあまり聞かない便利屋名です。おそらく開店価格ですね。宣伝もかねているので赤字覚悟で安くしているのでしょう」
相手「でも、スタッフが2名来ると書いてある。おたくは1名だけでしょ?」
「おそらくですが、現場研修も兼ねているのだとおもいます。経験の乏しいスタッフが2名か、ベテラン1名に新人1名が付くのかもしれません。新人に合わせて作業するので、作業時間は伸びてしまうしょうね」
相手「はー、なるほど。安いのにはそれなりの理由があるってわけね」
■絞めの言葉
絞め(作業終了後)のトークスクリプトも重要です。なぜなら、いつも言う言葉になるのが理由。
言葉に詰まったり、噛んだりするのを避けるためにも、短文でも言いやすい表現を選んでください。
(例)
「では、また何か困ったことがありましたらお電話ください」
「もし、〇〇の調子が悪いようでしたらこちらにお電話ください」
※名刺を差し出しながら
初回のお客様と、リピーター、見積もりだけ相手によって変化します。
電話、対面によっても微妙に変わるはずです。
担当者名がわかるように担当者名を伝えるのも忘れずに。
(例)「この度はお見積り請求をいただきありがとうございました。担当はタナカでした。
また、何かお困りごとがございましたらお気兼ねなくお電話ください」
■想定質問をつくっておく
初回訪問時・提案・質問に答えるとき・質問をするとき・要望を聞くとき・チラシを渡すときなど、トークスクリプトが効果を発揮する場面はいくらでもあります。
ただ、重要なのは相手からの返答と、その返しを予想しておくこと。
いわゆる「想定質問」を作り、自分に適した答えを準備しておいてください。
ただし、前職で関わったサービスを主軸とする便利屋をはじめるのであれば、
それほど難しくはないはず。
何回も繰り返してきたトークを参考にすればいいだけですから。
注意して欲しいのは「まったくの他業種から便利屋に参入する方」です。
他業種かつ接客担当もしていない方はまず、
想定質問とその返答(トークスクリプト)を準備しておくべきです。
なお、便利屋とひとくちに言っても、運営スタイルやサービスは千差万別。
万能なトークスクリプトはあまりありません。
なので、当記事ではどうしても提示できかねます。
もし、「自分の便利屋に合ったトークスクリプトが欲しい」
「トークスクリプトの相談がしたい」とお考えの方は私が提供している
相談サービスを受けてください。条件はありますが、実質無料です。
相談サービスは当ブログがおすすめする教材を購入後に受けられます。
■注意する点
トークスクリプトは口語表現に直してください。
あなたが言葉で発しやすく、相手が聞き取りやすい言葉にするのが最良です。
トークスクリプトを文章として書き、読み上げてみるとなにか違和感があるはず。
これは「書き言葉」と「話し言葉」の差によるもの。
文章としては正しい。けれど、対面で相手に伝える表現としては適していないから
こそ生じる違和感です。らぬき言葉は正確ではないとしても、場合によってはら抜き言葉の
ほうが伝わりやすい状況もあるのですね。
文章では主語がないと伝わり辛くとも、口頭ではあえて主語を抜かしたときのほうが伝わりやすいケースもあります。
これは会話の流れ上で、主語なくとも主語が推測できるためです。
何回も主語を入れていては会話の流れに滞りが生じます。
なので、あえて主語を抜かすのも状況によっては適していると言えるのです。
といっても口頭表現になおすのは難しくありません。
まずはトークスクリプトを文章(文字に)起こしてみる。
その後、読み上げてみてください。違和感があったところを修正すればいいだけです。
文章マナーとして正確かどうかよりも、伝わりやすさ重視です。
多少、間違っていても伝われば大丈夫です。