見積額を算出するために費やす時間もタダではありません。
「見積もり無料」はれっきとしたサービスのひとつです。
見積もり無料サービスを提供するということはときには
無償奉仕する機会を生み出すということです。
儲かっている便利屋さんは「見積もり無料」はサービスであり、
コストでもあるとちゃんと認識しています。
コスト意識高い系になろう
便利屋をはじめる前に「いくらくらい稼げるのか?」を
考えてみることをお勧めします。
取らぬ狸の皮算用は思っているよりも重要です。
そして、事業者であるあなたは誰よりもコストに敏感でなくてはなりません。
おおよその月間利益を求める簡単な計算式は以下です。
平均客単価 × 月間受注数- 費用 =利益
便利屋を始めていない方は、平均客単価の箇所を売り出すサービスの
平均料金、または主力サービスに置き換えてください。
便利屋開業予定者の方は、ひと月の利益50万を求める傾向が見受けられます。
たぶん、50万ほどの収入があってようやく会社員時代と同等と
理解しているからだと思われます。
皮算用してみても月 50万稼ぐことがいかに困難なのかを
ある程度は理解できるはずです。
ある程度はコントロール可能ですが、やはり受注が集中する
サービス(主力サービス)はどうしても偏ってしまいます。
しかし、その偏りはその便利屋の個性であり、強みとなります。
費用(コスト)は請けた仕事を完遂するのに発生した金銭です。
道具の購入費・レンタル(リース)費・人件費・交通費などが
これにあたります。
便利屋の場合、1時間あたりの料金は 3千円ほどですが、
上記の計算式に当てはめても実態はかけはなれることがあります。
また、忘れがちですが受注するまでに至った時間も無料ではありません。
『相談・見積もり無料!』とうたっていても、それはお客様側だけであり、
あなたはしっかりコストを支払っています。
電話で相談を受けるのも、メールを返信するのもコストが発生しています。
お客様からの要望をメールで確認~メールを書いて返信する、
この一連のながれで1時間費やすだけで すでにあなたはあなた自身が定めた
料金である3千円を払っていることになります。
そうです。メール一通でさえ費用が発生しているのです。
現場に足を運んで見積もり額を算出しなければならない
サービスだとさらに負担は重くなります。
無料の見積もりでも、あなたが「実働」しているのですから労働です。
メールテンプレートを選び、すこし文面を書き換えてメールを送信するだけでも
そこには必ず費やす労働力が発生しています。
また、見積もりを提出した相手が必ず依頼人になってくれるとは限りません。
低額の便利屋サービスでも相見積もりをする方なんて珍しくないです。
数時間かかって見積もりを提出しても、メールの一通も寄越さずに
消える方なんてザラにいます。
相談段階で改善はできますが、これはどの業種でも起こっています。
『毎日必死に頑張っているのにお金がない~!』
と、悩んでいる方は、見積もり額の算出~見積もり提出~仕事着手までの相談段階
(質問返答・アドバイス)の時間を費用と考えていないのかもしれません。
お客様視点では「見積もり無料」「相談無料」「電話相談無料」でも、
あなたにとっては「見積もり有料」「相談有料」「電話相談有料」なんです。
見込み客があなたの打ち出した『無料サービス』を利用するほど、
あなたは無償労働をする結果となります。
時間に余裕をもち、かつ稼いでいる便利屋は無料サービスはコスト、
負担であると自覚しています。
見積額を提出するまでに時間を消費するのですから当然です。
「無料相談」もこれに当てはまります。
相手からしてみれば無料ですが、相談や質問に対して回答・助言する
あなたにとっては無料ではありません。
しっかりとあなたの個人的な時間が消費されています。
回収できる費用であればまだマシです。
何回も電話相談を受け、親身に相談に乗ったとしても
依頼をしない方(冷やかし客)は一定数かならず存在します。
「あれだけ親身に相談に乗ってあげたんだから、あとで連絡が来るはずだ」
なんて思っていも、待てど暮らせどついに連絡はなく、
今生の別れとなるのです。
冷やかし客を相手にするのは金銭的なコスト※だけではなく、
精神面での負担がとても大きい。※費やした時間を金銭に計算
そのため、冷やかし客の可能性の高いとおもわれる場合、
あえて相手にしない便利屋さんもおります。
補足説明:慣れてくると、メールの文面だけで冷やかし客か、競合の偵察か、
新規参入者の偵察メール(ヒアリングの過程や文章を盗むためのメール)
かどうかが分かってきます。感覚的に理解できるのです。
明らかな冷やかし客にも今後のことを考えて親切に対応するのか、
希望薄として切り捨てるのか、どちらにするのかはあなた次第です。
ついては「見積もり有料」、「相談有料」としていました。
1件の冷やかしがあるだけで打撃を受けるサービスであったためです。
あなたが提供するであろう無料相談は利用者側が「無料」です。
利用者がお客様(顧客)になればまだマシですが、
すべての利用者が顧客となるわけではありません。
そのため、ときによっては無料相談サービスを提供すること=無償奉仕
となるのです。
セミナー講師や成功者の本に書かれているような、
『どのような方にも真面目に誠実に対応する』を実践していは
疲弊するだけです。