意を決して、便利屋を起業してもさらなる壁が待っています。
それは初めての依頼。依頼を受ける前から緊張してしまい、
精神的に疲弊する方もいるほどです。
事実、私がそうでした。でも、この初めての依頼が過ぎれば
次のステージに行けます。
そして、「あ、便利屋商売とはこういうものなんだ」と、腑に落ちるはずです。
いままで書籍や先人のブログを読んでも納得いかなかったモヤが晴れるんですね。
では、どうすればこの初めての依頼という壁を超えられるのか?
今回はなるべく精神的な疲弊を避け、失敗率を下げる方法を紹介します。
目次
依頼童貞をどう超えるのか?
会社員・ニート・専業主婦など、どのような立場からも
起業できるのが便利屋業の強みのひとつです。
脱サラをして第二の人生として便利屋をはじめる方もいる昨今。
それもひとつの生き方だとおもいます。
フリーター出身の私からすれば「会社員のままで良いんじゃないの?」と、
思ってしまいます。でも、当人が決めたのならば仕方ありません。
行くところまで行って稼ぎまくるしかないでしょう。
妻子があるのであればもう当たって砕けろの覚悟を持つくらいで
ちょうどよいかもしれませんから。
しかし、いままで会社勤めしかしてこなかった方が直面する問題があります。
それは依頼童貞をどうするか?
最初の依頼を受けるまでの自信がないでしょう。
依頼が来て欲しいけれど、来てほしくないような感じですね。
会社でバリバリ働いてきた方でもやはり緊張するものです。
理由は、いままでずっと雇用される側だったから。
「稼いだ」ことがないからです。
「ん?なんだと。俺は営業成績は上位だった!なのに稼いだことがないだと?ふざけるなっ!」
このようにおっしゃる方もおられるはず。
勘違いをさせたのであれば申し訳ありません。
謝罪いたします。
ただ、それほど深い意味はなく、単なるニュアンスの
違いだと思っていただきたいです。
以下に説明します。
稼ぐの部首である「禾(のぎ)」は稲を指します。
家は世帯単位の家ではなく、もともとは収穫した稲を
集める倉をあらわしていたそうです。
実った稲はお金と同等。すなわちお金です。
会社で働いている方は、まず「倉」に収穫物を持ち寄り、
それから分配され、それが給与となります。
倉に持ち運ぶ人数は多ければ多いほどよい。
だからこそ、集団(会社組織)が生まれました。
自営業であるならば文字通りの「家」に収穫物をおさめる。
それも少人数。または一人で。
このようなイメージです。すこし、抽象的になってしまいました。
会社の看板の威光を武器にして、集団で収穫物を獲得し、
分配する形式の稼ぐ行為(会社勤め)であれれば、
ほとんどの方が経験されています。
ですが、会社を経由せずに、お客さまから直接自分に
お金を払っていただく行為をされた方は比較してすくない。
なので、1回目の依頼(初依頼)がどうしても緊張してしまうのですね。
実際にやってみると「あれだけ悩んでいたのに」と、
おもうはずです。
では、この依頼童貞はどうすれば超えられるのか。
また、依頼を受ける前の緊張をどう鎮めるのか。
その方法を紹介いたします。
友人・知人・家族を第一のお客にする
家族・親戚・友人や知人をはじめのお客にする方法です。
まずは手近から攻めていくというわけです。
営業の仕事と似ています。
話しやすい顔見知りからあたっていく方式ですね。
相手が渋っても、相場以下で請けると交渉すれば承諾してくれるはずです。
実験台になるのは誰も嫌ですから。
無料では駄目。成長しない。
あくまでも目的は経験を稼ぐためなので、
無料でもいいと思われるかもしれません。
ですが、その考えは間違いです。
料金をいただく行為も含めての経験を稼ぐべきです。
手伝いをして謝礼を貰うのではなく、正式な依頼を請けて
作業をするのが重要です。
数回程度、繰り返してお客さん(友人)が満足すれば
自信が湧いてくるでしょう。
ここでの経験というのは、技術の面ではなく、
「自分でもお金をいただけるのか」と、ちゃんと認識する点が重要です。
この意識が心に根付く一瞬が必ず来るはず。
それが理解できたらまずは第一のハードルはクリアしたと言えるでしょう。
なお、自信をつけたからといって何でも安請け合いするのはいけません。
本当の第一依頼者(お客さん)があなたに依頼する
作業内容は、あなたが初めてする作業であるかもしれないためです。
自分の家で試す
自分の家で試す方法もあります。
便利屋は家に上がり込むサービスがいくつもあります。
とすれば、あなたの家ですぐに実習ができてしまえるのですね。
とくに生活に密着しているサービスは練習としても抵抗がすくないです。
たとえばスプレー缶のガス抜き・窓ふき・雑巾がけ・モップ掛け・
シンク磨き・風呂場の水垢落とし、屋根の清掃・雨どいのつまり解消に
フローリングの傷隠し・畳の焦げの軽い修復などなど。
家に居ながらにして本番に向けての練習ができてしまいます。
ひとつずつ、試していき、どんな依頼が来ても動揺しないように訓練していくのです。
※動揺しないだけで、すべての依頼が自身でこなせるわけではありません。
汚れ品を手に入れる
ここでひとつ、裏技的なものを紹介します。
油汚れがついている商品を手に入れましょう。
なぜ? それは練習になるからです。
家で練習をするといっても、何回も練習できるわけではありません。
自分で床を傷つけたり、わざとしつこい油汚れをつけるなど非効率的です。
ならば、最初から汚れのついているモノを入手しようという魂胆です。
活用するのは「ジモティー」やヤフーをはじめとしたオークションサイトです。
ジモティーでは未清掃や軽く処理しただけの物品が安値で売られています。
それらを購入して練習台とするだけです。
「商品名 油汚れ」「ジャンク品」などで検索してください。
なかには「取りにこられるのであれば無料で譲る」と、
提示している方もおります。
無料で練習台が手に入るのですからお得です。
またはジモティー・地域掲示板などで「無料で回収にうかがいます」と
宣伝すれば問い合わせがきっとあるはずです。
物を捨てたいとおもっていても機会がなく、放置している人は
必ず存在するためです。
以下のような文章を添えても良いでしょう。
初回であれば、対面で渡すのに抵抗感を抱く人もいます。
日中は家にひとりの主婦・独り暮らしの未婚女性など。
そのような方に配慮した回収方法を提示しておくと問い合わせも増加します。
「回収」と書いた紙片を貼りつけ、敷地内に置いておくように
促しておけば依頼者も気軽に処分できます。
これは練習台と「顔見せ」(売り込み)を兼ねた一石二鳥の方法でもあります。
依頼者はあなたと対面せずとも、ちゃんと回収してくれたと
の安堵感を抱きます。実績をひとつ獲得したのです。
練習台は不要になれば、住んでいる地域指定の方法で廃棄。
または業者に引き取ってもらうだけです。
自分で使ってもなんの問題はありません。
この方法であれば一般廃棄物収集運搬業許可は不必要です。
なお、回収した物品を修復・清掃後に販売するのであれば、
「生業」とみなされるため古物商の許可が必要となります。
※生業に値しない個人的な範囲での販売はグレー行為です。
練習の方法
練習をする前には、清掃前の状態を写真におさめてください。
目的は「ビフォー&アフター写真(画像)」を入手するため。
汚れた状態と、綺麗な状態の写真を撮っておけばあとから見返せます。
なにより、ビフォー&アフター写真はウェブサイト(ホームページ)に
掲載し、実績画像としても利用可能です。
私はこれだけの技能がありますよと、アピールするためですね。
なお、使用するカメラは携帯のカメラ機能で十分です。
※あまりに古い携帯だと画像が粗くなるので注意
作業時間を計る
清掃作業に入る前には必ず時間を計ってください。
まずは、時間を気にせずに、できるだけ正確に、綺麗にすることを心がけて作業します。
「意外と時間をくったなぁ」と、落胆する必要はありません。
初回のタイムを計ることが重要です。
それから徐々に作業時間を短縮していく流れですね。
何回も繰り返していくと、コツを掴んできます。
工夫も思い浮かぶときもあるでしょう。
態勢をたまに変える。右手が疲れてきたら左手を中心に使う。
自分の身長に合った台を使用するなど、工夫をすると
作業時間は短くなってくるはずです。
ただし、できるだけ本番に近しい環境で練習してください。
本番では床の汚れも気にせず分解・清掃する場所はないかもしれません。
清掃する箇所が必ずはずせるとも限らないのです。
家中の清掃作業についての依頼者は主婦層である可能性が高いので、
厳しい目で見られることもあります。
「私だったら5分もかからずにできるのに」との不満を抱かれてしまうと
なかなかリピーターにはなってくれません。
基本の水回りをおさえる
基本となるのは水回り・台所(キッチン)の掃除です。
- 水回り(シンク・水道の蛇口)
- ガスコンロ
- レンジフード
- ファン(換気扇)
- 「やかん」やナベの焦げ付き除去
- お風呂場――タイルの目地補修を含む――
- トイレ掃除
など。
一部分ずつ、処理・清掃の仕方をおぼえていってください。
ある程度、経験を重ねた台所付近から脱して、室内清掃へと
広げていく感覚です。
掃除のやり方はひとつだけではありません。
例えば、ステンレス製シンクを磨く時にも複数の方法があります。
- 重曹
- クレンザー(クリームクレンザー)
- 専用スポンジ
- メラミンスポンジ
- アルミネットスポンジ ※傷がつきやすい
など。
仕上げに耐水サンドペーパー・金属用コンパウンドを使う猛者も居ます。
まずは、細かいとこは気にせずにいろいろ試して自分に合ったやり方をみつけてください。
なお、自分に合ったとは、要領よく・傷をつけずに綺麗に仕上がった方法です。
清掃作業は基本、作業時間で料金を貰うシステムですからね。
メラミンスポンジやクレンザーをシンクこすりつけると、
細かい傷が付くおそれがあるので、重曹を使う人もいます。
重曹が馴染むまでに、別の作業にとりかかれるので時短にもなります。
ちなみに、私はクレンザーでの磨きが好きでした。
「特定の汚れには通用するが、傷つけるおそれもある」
という掃除の仕方もあるので注意してください。
たとえばメラニンスポンジはフローリング床・樹脂素材には
私は知育玩具の汚れ落としをしていたときに、
メラニンスポンジで傷をつけた経験があります。
素材にもよりますが、フィギュアであれ軽くこする程度であれば黒ずみが落ちます。
しかし、それは素体を削っているにすぎないので加減をしてください。
コツを掴めばメラニンスポンジは使いがってがよい掃除道具です。
できる限り早く、そして自分も無理なくできる方法を取得してください。
短い時間で依頼を達成できればお客さまも喜び、満足します。
これは次回の依頼への布石となるので重要です。
「あえて時間をかけて料金をせしめよう」とおもうと逆に損です。
地域密着の個人事業主ですから、「損して得取れ」精神があとで
大きな差を生みます。
清掃は自己流ですると失敗するので、基礎知識をつけるためにも
1冊は専用の書籍を購入してください。
ネットからでも情報は得られますが、情報の断片ばかりで
体系的にまとまっていません。不足部分が必ずでてきます。
不足部分をおぎなうためにまたネットで調べる。
そして、別の疑問が浮かんでまた調べる。
このパターンに陥ってしまうおそれがあるためです。
慣れていればネットを活用しても良いですが、
なにもわからない状態からはじめようとする人にはお勧めできません。
書籍は中古本であれば数百円で購入できます。
書いてある中身は大差はありませんが、あまりに古いと
時代にそぐわない箇所もあるでしょう。
そのため、発行されてから5年までの書籍を目安にしてください。
作業内容を制限する方法もあります
いくら練習を積んでも自身が湧かない。そんな方もおられるはず。
そのようなときは、自分が自信を持っている清掃箇所だけをサービスにしてください。
「人より臭いに敏感なのでトイレ掃除はやりたくない」とおもうのであれば、
お風呂場だけを専門とする清掃メニューを作ってください。
現場にて依頼者から「ついでにトイレ掃除もおねがい」と頼まれたら
理由をつけて断るか、従業員または他業者に任せるなど、
対処の仕方を事前に決めておくのも肝心です。
ひとくちに清掃といっても、どこからどこまでを範囲とするかは
便利屋オーナーである、あなたの自由なのですから。
どうしても自分ではうまくいかない。
どうしても苦手なことは最初から請けずに拒否しても良いのです。
同業者に仕事を紹介する方法だってとれます。
まずははじめてみましょう。行動しないと成功はありません。