便利屋開業者の悩みは尽きることはありません。
その数ある悩みのなかで、誰もが悩むのは「仕事がない恐怖」。
とくに、安定的な正社員という身分から脱サラ起業した人は
耐え難い不安を抱きます。
※現在、正社員の方からすれば「安定的ではない」と反感を抱く方も
おられるかもしれませんが、自営業になればわかります。
ですが、どのような便利屋にとっても波があるものです。
不調好調の波を超えないと勝てません。
生き残れません。
考えるのは、仕事がないときにどのように耐えるのか、ではないです。
どのように行動するのか、です。
目次
追記2021年06月06日
ひとつの答えとして、休眠顧客の掘り起こしがあげられます。
新規顧客を獲得するコストよりも安上がりであり、
複雑な手続きもないので取り掛かりやすい施策でもあります。
休眠顧客にアプローチするのはDMが手っ取り早いです。
しかし、ネットで検索しても便利屋DMのサンプル例はありません。
そこで、私も現在もつかっているテンプレートをサンプル例として
販売することにしました。以下のURLからお確かめください。
「仕事がない状態を脱して売り上げをアップさせる「休眠顧客掘り起こしDM」眠った顧客を呼び起こして、再発注させる秘密の手紙とは?」
自己流でDMを作成してもいいですが、時間も手間もかかります。
楽をしたいのであれば、当テンプレートを参考にしてください。
便利屋の仕事がないときは、どうすれば良いの?
便利屋で仕事がないとき、どうすればいいのか?
実は、わたしも分かりません。
コンサルタントのような、それっぽい答えも出せません。
大抵、その場で納得して、「で、結局なにをすればいいの?」
と、思わせるようなコンサルタントは少なくないのは事実ですけどね。
自分もむかしそのような状況に陥ったことがあります。
なんどもあります。
サービス範囲がちがう、売れてそうな同業便利屋さんに聞いてみても
これといった回答はもらえません。
それよりもよくあるのが、メンタル面での説教。
人は説教したいんだな、とつくづく身に沁みました。
ただ、事態を改善できた方々の成功例は知ってます。
と、いいますか仕入れました。
その打開策は私が受注数を伸ばしたきっかけと似たようなものでした。
限定的で、すべての方にあてはまる例ではありませんが、
紹介させていただきます。
なお、便利屋の開業初期の「仕事がない」状態とはちがいます。
また、現在抱えている顧客に別サービスを売るような「顧客単価」をあげる
例ではありません。
新規顧客が来ない=仕事が来ない、という状況下だとお考え下さい。
現業仕事から独立したAさんのケース
Aさんは現業系の仕事から独立・開業した30代の男性です。
正義感が強いのですが、カっとなりやすい性格なので
同僚・後輩からはあまり好かれていませんでした。
Aさんの仕事は職人系の現場仕事。
他種の職人が複数人いる現場で働いていました。
職人のなかでもわずかなヒエラルキーのようなものがあり、
Aさんの仕事は花形といわれる職人さん(職種)からたまに
馬鹿にされていました。
※職人の世界にもヒエラルキーがあるなんて私は知りませんでした。
職人さんは荒っぽい方が多い業界。
若くても職歴が長ければ、新人の中高年に対して普通に怒鳴り、顎で指図します。
それで辞めたら「根性ナシ」としてさらに見下されます。
職人の世界は広いようで狭いので、おなじ地域で
働こうとしてもレッテルが貼られているので待遇は落ちるそうです。
さらに昔は見習い職人のケツを文字通り蹴っ飛ばして、
一人前にするのが当たり前の世界。
仕事ができないお荷物なので当然という考え方。
親方・先輩職人にぶっとばされながら一人前になった職人は、
されたことと、同じことをします。
部下・後輩・見習いに。
Aさんが言うに、パワハラは職人の世界にありません。
パワハラという概念がないためです。
「ん?」とおもわれるかもしれません。
私も思いました。
仕事を教えてくれている親方や先輩がする
一般的に指すパワハラ行為はその世界では
パワハラではないんです。
目をかけているからこそ理不尽さを
与えてあげている「愛」らしい。
新人の名前は呼びません。
「オイ」「あんちゃん」「おまえ」
または、馬鹿にしているようなあだ名で呼ばれます。
鼻持ちならない正社員が「アルバイト君」「派遣さん」と
呼ぶような身分差ではなく、「しごき」の意味合いで使うようです。
または、単なるいじめ。
普通に考えておかしいでしょう。
しかし、職人世界独特の常識があるのです。
職人さんの世界ではそれが普通なのでしょうね。
だから、一般的な社会常識を持っている方が
「それはおかしい」「非効率的だ」「時代にそぐわない」と
指摘しても擁護する職人さんや関係者が続出します。
Aさん、怒りの独立
Aさんはそのような職人世界に怒りをおぼえていました。
そして、とある事件をきっかけに独立。
しかし、事情があり、看板は便利屋としたようです。
習得した技術で請け負えるサービスが複数あったため、
〇〇の便利屋とした方がウケが良かったそうです。
ただ、独立は甘くない。
最初のうちは集客ができなかったので、
半年以上もまともな仕事は受けられません。
ですが、徐々に評判があがり、ぽつぽつと仕事が入り始めました。
独立から 1年経とうというときには恒常的に仕事を受けられる
体制にまで持ってこれました。
貯金が底を付く寸前で盛り返したのです。
「ようやく軌道に乗ったか」
Aさんが安堵していた裏で、事態は深刻化していました。
競合がAさんの行く手をさえぎる!
Aさんの失敗要因のひとつとして前職(元職場)の縄張りで
事務所を構えてしまったことでした。
そして、前職を退職するときの印象がわるかったこと。
要は競合に目を付けられたのですね。
悪評を密かにながされたり、空依頼をされ、
見積もり作業で1日がつぶれる日もありました。
便利屋のあるあるパターン、「本職に仕事をもっていかれる」ケースです。
競争が激しく、限界まで値下げをしてくる本職(専門職)には
対抗がむずかしい。
嫌がらせが増えた、仕事が来なくなった要因は
他にもあるとおもわれます。
こうなったら事業者としてAさんはどうにかしなくてはなりません。
教科書的な起業本では「要因を詳しく探って、対処をする」
なんて書かれているでしょう。
しかし、いちいち要因を探って対策を立てられるのは
大企業ぐらいです。零細企業の域をでないAさんとしては
そんな体力(資金)はない。
では、どうするか?
撤退です。
Aさんは現在主力であるサービスから撤退を決めたのです。
撤退といってもすぐに主力サービスをやめるわけではありません。
別の依頼が増加してきた依頼を主力サービスにしようと具体的な
行動にうつっただけ。
その別サービスはAさんの前職とはまったく関係がないサービスでした。
それはAさんにとっても有利にはたらきます。
Aさんの競合は、Aさんの主力サービスにしか関心がありません。
Aさんが注力しはじめた別サービスはノーマークだったわけです。
Aさんは競合は表で戦っているようにおもわせて、裏で撤退をはかり、
あらたな稼ぎ口を見つけていたのですね。
事業方針の転換と捉えてもらえればそう間違いではないでしょう。
現在、Aさんは上記の別サービスを窓口に
提供商品(サービス)の範囲を広げています。
主力サービスの依頼が減少していた状況から無事、
脱出できたのです。
競合はおきざりです。
Aさんの撤退を見て、競合ははじめ嬉しがっていました。
しかし、すぐに別の競合と激しい値下げ競争をはじめたようです。
Aさんは元の競合から見れば脱落者ですが、
実態は勝者でもあります。
以上は、成功例です。
現実にはAさんのような行動をとれる方はすくないでしょう。
なぜなら、自身が長年気づきあげてきた技術(スキル)が
活かせないためです。
自身が好きな、誇りをもっている仕事をもうしないと決断するのと同義ですから。
人によっては自分の存在意義を捨てるようなものでしょうからね。
と、ここまで読まれた方は不満を抱いているかもしれませんね。
「特殊な例かもしれないAさんの話を聞いても納得いかない」
「結局、わたしの仕事がない状態は変わらない」
「で、どうすればAさんのように成功者になれるのか?」
ごもっとも。ひとりの例をあげただけで解決するようであれば
苦労はしません。
そこで、仕事がない状態から脱出できるかもしれない
ひとつの手法をお教えします。
稼ぐ便利屋はサービスに固執しない
前述したAさんをはじめ、仕事がない状況から
盛り返した便利屋(なんでも屋)には共通点があります。
それは「新規サービス(商品)の追加」です。
※主力サービスの拡充方法もあるのですが、
当記事では説明いたしません。ご了承ください。
受注数を増やす便利屋さんは柔軟です。
ほとんどの方があたらしい方針・商品を受け入れる度量があります。
自身が提供するサービスに固執しません。
利益にならない変なこだわりは潔く捨ててしまうのですね。
「あ、このサービスは採算が落ちてきたな。切ろう」
町の便利屋として人情派としても知られる人でも
裏では結構ビジネスライクってのは珍しくありません。
たんなるお人よしでは即刻、便利屋業界から消え去っていたでしょう。
ときにはAさんのように長年培ってきた技術・人脈を
捨ててしまう人だって存在します。
※捨てる、というか以前の人脈が役に立たなくなる
仕事がない状況を打開するひとつの方法
たまに来る依頼をメニュー化する
では、具体的にはどすればいいのか?
簡単です。たまに来る依頼をリスト化してください。
同系統の依頼があればひとつのグループとしてまとめて、
依頼件数の伸びを数字化します。
増加傾向のある依頼であればサービスメニューとして
新規追加する余地ありです。
売れる予感がしたら、看板を掲げるだけ。
「たまに来る依頼」のサービス名称なかったら、
勝手に自分で名付ければいいだけです。
なお、新規サービスの候補として優先させるサービスは、
それほど技術が必要なく、機材購入費・維持費が発生しない仕事です。
ヘンテコ依頼が儲けの種になる
便利屋をしていると変わった依頼が舞い込んできます。
「これ、便利屋の仕事なの?」「いや、〇〇(他業種)に頼めよ」
と、ついおもってしまう変わった依頼から違法スレスレの依頼まで。
便利屋の運営が順調なときは「面倒くさい」「利益がそんなにでない」
と忌避してあしらう依頼もあるでしょう。
しかし、そのようなたまにある依頼が儲けの種となるときだってあります。
「〇〇をします!」と、看板を掲げてもいないのに
依頼をされるというのは、それだけ隠れた需要があるのです。
主力サービス化をできるほどではなくとも、
利益を維持する支えになってくれるはず。
もし、依頼数が増えれば主力サービスにしたって問題ありません。
これは便利屋特有とも言える、おもしろい戦略です。
物販であれば、商品を追加するのに仕入れが必要です。
売れるかどうかもわからない商品のコストが掛かりすぎます。
在庫を保管するコストも生じるのは必須。
他サービス業においても新サービスを
定番化するのは簡単にできません。
しかし、便利屋はそのような縛りが緩い。
※注 サービス内容によりますが
サービスメニューをどんどん追加しても違法ではありません。
儲かりそうなサービスがあったらどんどん
定番メニューにすればいいだけ。
たとえば、あなたのもとに以下のような依頼が舞い込んできたとします。
「目の前でおいしく料理を食べてくれる女性を派遣して欲しい」
事情を聞いてみると、この男性の依頼者は別の便利屋に
頼んだけれども無下に断られたとのこと。
最初は目的がわからず気味が悪いので断ろうとしました。
ですが、今月は売り上げが悪い。
ものは試しと依頼を受けてみた。
すると、なんの問題もなく依頼は完遂。
派遣した女性スタッフはタダでおいしい料理を食べられたと喜んでいる。
「変な依頼があるものだなぁ」
あなたはそのように思いながらも、通常業務に戻るでしょう。
忙しい業務のあいまに変な依頼があっという記憶も
薄らいでいきました。
その、数か月後。
また、以前と似たような依頼が舞い込んできました。
依頼者は男性。
以前の男性とは別人です。
ですが、依頼内容は酷似していました。
依頼は「目の前でおいしく料理を食べてくれるふくよかな女性を派遣して欲しい」
なにか直感めいたものを感じたあなたはすぐにサービス名称を決めました。
「食事代行」と。
あらたなサービスメニューです。
名称を決めたあとは認知度を広げるために、
食事代行の事例をウェブサイトに掲載。
食事代行という名称を広げていき、依頼を獲得していきます。
食事代行の看板を掲げているのはあなただけです。
すでに先駆者としての地位を確立したので、追随する
競合があらわれても有利に戦えるでしょう。
※アメリカでは実際に存在するサービスらしいです。
自分は〇〇の便利屋だと制限しない
「わたしは〇〇の便利屋だ」と、制限すると
視野が狭くなってしまいます。
儲かる種をみすみす手放す事態にもつながるのです。
もし、仕事がない状況に陥ったら、別サービスに参入するか
いまできる仕事をズらして別サービスを開拓すれば
盛り返せるかもしれません。
なにもしないよりは利益になるはず。
ただ、提供サービスを絞り、便利屋業界内において専門家的な
立ち位置を構築するのもひとつの戦略です。
どっちが良い、悪いというものでもありません。
運営姿勢の差にすぎません。
もし、すでに専門家的立ち位置を築いているのであれば
便利屋内における独立部門として立ち上げる方法もあります。
大本はおなじでも、独立した組織として運用するのです。
すでに出来上がってしまった便利屋の色(イメージ)を
塗り変えるのは労力が必要です。
すでに名前(屋号)が知れ渡っていれる場合だってあるでしょう。
そのようなときは、切り離すという選択も考慮してください。
あくまでも、外部から見た話しです。
内部でつながっていようと関係ありません。
なかなか良い手ですよ。
また、いちから築きあげるのは非効率ですからね。
ちなみに私は上記の方法で 2つ独立部門をつくり、
テレビ(キー局)・全国紙に取材を受けるまでになりました。
便利屋を引退して、便利屋支援業をするようになってからも
この手法はまだまだ通用すると実感しています。