登録スタッフの主力は2割ほどにおちつきます。
選別眼がないと嘆く必要はありません。
アルバイト雇用とは別の方法 ― 登録スタッフ
便利屋(なんでも屋)を運営していくとどこかで
「人手が足りない」とおもう場面がきっと来ます。
自分一人、または現状ではこなせないほどの問い合わせが来て、
受注ができない。
自分ではできない依頼が来たときなど。機会損失の状態です。
そういう事態におちいったとき、まず考えるのはアルバイトの雇用です。
常時雇用する労働力を確保するという方向性に頭がはたらきます。
ですが、これにもハードルがあります。
アルバイトを雇うにしても書類を揃え、手続きが発生します。
雇用保険への加入や税務上の手続きが増えます。必ずです。
また、おもった以上に費用が発生してしまうでしょう。
時給の面でも悩むはず。
時給制ですからね。あそばせておくとお金を無駄に垂れ流す羽目になります。
そこで、適宜雇用・外注をすることにより、
経費を必要最低限におさえられるのです。
便利屋においてはそのような役割は「登録スタッフ」に任せます。
順調に便利屋を運営できてきた方はここまでの道のりをほぼ通るはず。
ここまでは。
人材は揃ったけど「使える人」がすくないという悩み
儲かっている便利屋では、アルバイトと登録スタッフにうまく仕事を
振り分けて利益を伸ばしています。
厳密には、アルバイト・登録スタッフ・提携している同業者や他業種に
依頼を振り分けているのですね。
同業者であれば勝手を知っているので、丸投げでもかまいません。
しかし、登録スタッフだと扱いがむずかしい。
なにより、頭を抱えるのは「使える人材」がすくない点でしょう。
登録スタッフは10人いれば、おそらく2、3人程度しか稼働しません。
実際の依頼を任せられる人物は 2割程度におちつくはずです。
わかっている方はこの時点でも焦りません。
でも、この2割の法則を知っていない方だと
「頼れる奴がすくない」と感じてしまいます。
焦る必要はないです。
登録スタッフをもっと増やそうと動いても、
現状のままだとあまり変わりがないでしょう。
また、能力的に基準に達していないのが8割というわけでもないのです。
基準ぎりぎりでも、使い勝手が良いスタッフが主力となる
登録スタッフの能力以外の部分も「稼働率」に関わってきます。
あなたの個人的な心象もあるでしょうし、登録スタッフの性格も要素のひとつ。
ですが、登録スタッフの稼働率に関わる大きい要素は、距離・時間です。
たとえば、あなたが登録スタッフに任せたい依頼を受注したとします。
そして、仕事を丸投げできる登録スタッフは 3人います。
あなたは能力的には登録スタッフAに任せたい。
スタッフAは古参であり、優秀だからです。
ただ、任せたいけれど、スタッフAを現地に向かわせるには交通費が高すぎる。
くわえて、時間がかかりすぎる。拘束費を請求されるかもしれない。
Aと、動揺に優秀なスタッフBにもいます。
しかし、本業が忙しくて依頼を拒否されてばかり。
今回も時間の都合が合わないからと拒否されました。
結果、スタッフCが選ばれたのです。
では、スタッフCはA・Bよりも能力があるのかというとそうでもない。
スタッフA・Bよりも能力はありません。
スタッフA・Bの能力値が100だとすれば、スタッフCは70です。
能力値が 60程度あれば依頼を達成できるとすれば 70でも十分です。
たぶん、これから先、スタッフCよりも優秀な登録スタッフが
増えたとしてもあなたはスタッフCを頼るはずです。
理由は単純。
使い勝手が良いためです。
以上はあくまで例えです。
さまざまな要素が絡まり、最終的に稼働率が
高い登録スタッフは 2割程度におさまるでしょう。
その2割が、登録スタッフ内の主力です。
最初は合格点ギリギリの能力しかもたなくても、
仕事をこなしていくと優秀に近づいていきます。
安心して作業を任せられるベテランに育ちます。
なので、「ウチは使えるスタッフがすくない」と、嘆いて
無理に登録スタッフの枠を拡充するのは悪手です。
専門スタッフがいるならば別ですが、1人では
管理・連絡・教育はむずかしい。
また、仕事を与えられないと一定の割合で登録スタッフは
去っていくためです。
すこしだけ、登録スタッフが足りない感じがする。
これくらいの人数で大丈夫です。
あなたが「使える」と思う登録スタッフが
10人中に2、3人いれば上出来なんですね。
スタッフの管理は、アルバイト・登録スタッフを
抱えるまでに拡大できてきた便利屋が崩れる原因のひとつです。
広げすぎると疲弊します。
売り上げがあるのに、精神的に疲弊して廃業なんて展開は
絶対に避けていただきたいです。
■追伸
登録スタッフを活用するのは中級者からだとおもわれます。
そのため、当記事は開業したばかりの方であれば無視して
いただいても大丈夫です。
ただ、受注に専念するタイプの便利屋であれば
登録スタッフの管理・実態をいまから知っていてもはやくありません。
登録スタッフを活用するには募集・選別・育成など、
いくつかの段階があります。
各段階については別の機会に説明させていただきますので、
お待ちいただきたく願います。
需要があれば、ですが。